知識量や読む速さで言えば、機械のハイスループットぶりは人間がどんなに頑張っても敵いません。同じ質問を博士課程の学生と AI に投げれば、今の AI の回答は博士課程の学生より概ね網羅的で完成度が高いでしょう。しかもその機械は月20ドルで手に入るのに、人間は20年以上の訓練を積む必要があります。そう考えると悲しくなりますが、だからこそ AI をどう使いこなすべきかを考えさせられます。
残念ながら、今のところ私の AI for academic career への模索は、ChatGPT と対話する段階にとどまっています。それどころか、考えれば考えるほど、いっそ quit して別の業界に移るべきなのではと思えてきます。しばらく不安になっていましたが、確かに今のところ良い手はありません。ただ、考え直してみると、この問題に気づけたこと自体、そして変わることを試みていること自体が、なかなか良いことなんだと思います。
お久しぶりです
半年ぶりですね。最近考えていることを少しだけ書きます。
AI の時代
この半年、旅行の記事も学術の記事も、ほとんど更新できていませんでした。忙しくて時間がない、と言い訳はできますし、それも事実です。ただ、一番の理由は、今の自分には質が高くて替えの効かない内容を書くのが難しいからです。
写真のない紀行文は良い紀行文とは言えません。しかも私は写真のレタッチにこだわるタイプなので、レタッチと選定だけでかなりの時間がかかります。そのせいで、何度か旅行した写真もいまだに手をつけられていません。さらに、ただの紀行文は自分の生活の記録にすぎず、他人が私の紀行文から得られるものはあまりにも少ないと思います。わざわざ時間をかけて読むくらいなら、小红书で検索したほうがよほど網羅的ですからね(それを仕事にしている人もいるわけで)。
学術系の文章を書くのは、もっと頭が痛い問題です。思い返せば ChatGPT 3.5 のリリースはちょうど3年ほど前のこの時期でした。当時の生成 AI はハルシネーションだらけで、とても信頼できるものではありませんでした。ネットにも接続できず内容の検証もできないうえ、思考力がなかったので論理がしばしば破綻していました。つまり出力はほぼ使い物にならず、AI 臭いテキストを書く程度にしか使えなかったわけです。
でも今はまったく別物です。コーディングの分野では Cursor や Claude Code がとにかく強力で、MCP の活用も目まぐるしいほど。画像生成の分野では Nano Banana も圧巻です。研究の分野でも、ネット接続と思考力を備えた ChatGPT はもう十分に力になってくれます。今の AI は本当にすごくて、月20ドル払えば個人の競争力を大幅に高められるのだなと、あらためて実感します。
2年ほど前までは、仕事で AI を使わないと頑なに貫く人がいる一方、会社も特に何も求めない、という話をよくニュースで見かけました。今では AI を使わない社員は、ほぼどの会社でも評価されないどころか、嫌われると言っていいでしょう。AI の発展は期待に遠く及ばないという人もいますが、実際には ChatGPT の登場からまだ3年しか経っていません。AI の進歩はあまりに速く、少し時間が経てば大量の新知見が現れて、とても追い切れません。また少し時間が経てば、業界を変えるような製品(Cursor や Nano Banana など)が登場します。この速さに、ついていけていない気がして、この波に乗り遅れるのではないか、ひいては仕事を失うのではないかと怖くなります(確率は極めて低いのですが)。
そう考えるうちに、ひとつの疑問が浮かびます。この時代、私のモートは一体何なのか。最近、これが私を不安にさせる問いになっています。
知識量や読む速さで言えば、機械のハイスループットぶりは人間がどんなに頑張っても敵いません。同じ質問を博士課程の学生と AI に投げれば、今の AI の回答は博士課程の学生より概ね網羅的で完成度が高いでしょう。しかもその機械は月20ドルで手に入るのに、人間は20年以上の訓練を積む必要があります。そう考えると悲しくなりますが、だからこそ AI をどう使いこなすべきかを考えさせられます。
最近ちょうど見終えた老罗(羅永浩)と红衣大叔(周鴻禕)のポッドキャスト番組で、その中でも何度もいわゆるモートの話が出てきました。主に企業を対象にした議論でしたが、红衣大叔の考えは、戦略をタイムリーに調整できること自体が会社のモートだというもの。これは個人の成長にも当てはまる気がして、私もなるほどと思いました。
残念ながら、今のところ私の AI for academic career への模索は、ChatGPT と対話する段階にとどまっています。それどころか、考えれば考えるほど、いっそ quit して別の業界に移るべきなのではと思えてきます。しばらく不安になっていましたが、確かに今のところ良い手はありません。ただ、考え直してみると、この問題に気づけたこと自体、そして変わることを試みていること自体が、なかなか良いことなんだと思います。
CCP4 Shanghai School
聞いた話では、前回の CCP4 Shanghai Schoolは5年前のことだそうです。今回参加できたのは偶然が重なったからで、ちょうど近くで開催されたので、こんな機会は滅多にありません。
初日の午前中だけで多くの収穫があったので、10日間の Lecture はほぼすべて聞き通し、Tutorial にもこっそり何日か混ざって聴講しました。収穫は確かに大きく、結晶学への理解がぐっと深まりました。この知識がなくてもタンパク質結晶の構造解析や登録はこなせますが、それでもどこか訓練が足りていない感覚が残ります。
当初は、この会議で学んだことを整理して共有しようと考えていました。でも、新しいフォルダを作ってみると、共有できることは限られていると気づきました。ひとつには、私もほんの皮毛をかじっただけですし、相対的に少し詳しいというだけでしかありません。しかも近い将来、本格的に結晶学に取り組む機会はほとんどなさそうで、それはとても残念です。もうひとつには、CCP4 公式のチュートリアルがすでにかなり詳しいので、車輪の再発明をするようなことはしたくないというのもあります。そういう記事に大きな意味はないので、時間は他に使おうと思い、フォルダはまた削除しました。
もちろん、何か話したいことがあれば、いつでもご連絡ください。喜んでお相手します。
計算生物学 or 生物情報学
これも最近考えていることのひとつです。
構造生物学だけでは、もう少し物足りない感じがしてきました。まず、構造そのものは良いツールではあるものの、多くの場合それだけで説明できることは限られています。次に、競争力を保ち続けるには、スキルツリーをもっと伸ばすことと、創薬方面に寄せることの2つを考えないといけないと思います。そうしなければ、構造生物学だけをやって応用に進まないと、多くのチャンスを逃してしまう気がします。
身近にはバイオインフォをやっている友人が何人かいて、その生活スタイルがけっこう羨ましいんです。先輩たちもみんな悪くない道に進んでいますし、バイオインフォと構造生物学を掛け合わせられないかと考えさせられます。
ただ、調べてみると少しがっかりしました。生物情報学と構造生物学の交わりはかなり限られていて、むしろ計算生物学のほうがとても相性が良さそうです。というわけで、計算生物学の沼に足を踏み入れてみようと思っています。とりあえず候補はこんな感じです。
それ以上深い領域には、当面は手を出さないつもりです。本業はやはり構造生物学ですから、本末転倒にならないようにしたいですね。何か面白いものが作れるか、機会を探してみます。
もちろん、これらも Powered by AI で進めるつもりです。そうすればもっと速くできますから。
おわりに
まだまだ話したいことはたくさんありますが、もう書く力が尽きました。ひとまずここまでにします。次回がいつになるかも、まだわかりません。